今回は、先日現役引退をされました、元メジャーリーガーであり最後には巨人で活躍された投手、上原浩治さんについてです。
プロフィール
出身地
大阪府寝屋川市 出身
東海大学付属仰星高等学校 卒業
出身大学
大阪体育大学 (1浪)
仕事
「雑草魂」の言葉で知られる、平成の大投手です。
1999年にドラフト1位で巨人へ入団。
ルーキーイヤーから先発ローテーションの一角を担い、いきなり20勝4敗というとんでもない成績を残した。
その後も、巨人不動のエースとして活躍し、2009年からは活躍の舞台をメジャーリーグに移した。
2013年には当時の所属球団であるボストン・レッドソックスのワールドシリーズ制覇に大きく貢献し、胴上げ投手となった。
2018年には再び巨人へ戻り、日本での活躍を再開するも、2019年5月20日に突然の引退を発表された。
野球に興味があまりない人はピンと来ないかもしれません。
けれど、プロ入り初年度から20勝というのはもう化け物としか言いようがない成績なんです。
今メジャーで活躍している投手たちのプロ入り1年目の成績と比較すると、そのすごさが分かると思います。
プロ入り初年度の成績
田中将大 投手 11勝7敗
ダルビッシュ有 投手 5勝5敗
大谷翔平 投手 3勝3敗
上原浩治 投手 20勝4敗
ワールドシリーズ制覇も一昔前では考えられなかった偉業。
ずっとリアルタイムで見てきた私としては、引退はものすごく寂しいものがありました。。。
学生時代
上原さんが野球を始めたのは小学校時代から。
けれども進学した中学校には野球部が無く、なんと陸上部に所属しながら、地元の野球チームに通って野球を続けていたそうです。
高校時代は、主に外野手として活躍し、練習中は打撃投手(打つ練習をするために投げる投手)を務めることも多かったそうです。
3年生で投手になったのですが、同期に後のプロ野球投手である建山義紀投手というエースがいたこともあり、投手としての試合出場機会はほとんどありませんでした。
そんな感じでしたから、高校時代まではほぼ無名の選手であり、プロからの誘いを受けることもありませんでした。
当時は体育教師になるという目標もあったため、大阪体育大学に進学すべく、高校卒業後に浪人をすることを選んだんです。
そして一浪のすえに大阪体育大学に合格。
浪人時代に勉強と並行して取り組んでいたトレーニングの成果が出て球威が大きく増し、大学在学中にプロ大注目の選手となりました。
浪人時代(背番号19の意味)
上原投手が巨人に入団し、その後メジャーリーグに移籍してからもずっと、長い期間つけ続けた背番号は「19」。
これ、一体なんの数字か、分かりますでしょうか?
19とは、浪人時代の自身の年齢の事。
上原さんは浪人時代の経験を、
「あの一年ほど、自分の人生で辛かった時期は無い」
と表現しています。
野球でプロになり、日本一のエースになり、その後メジャーリーグでワールドシリーズの胴上げ投手になったほどの選手。
そんな上原さんの一番辛かった時代が、なんと浪人時代だそうなんです。
もちろん浪人時代の上原さんは勉強とトレーニングを両立させる一方で、アルバイトも
こなしていたという苦労人。
通常の浪人生に比べても、大変だったという一面はあるかもしれません。
けれども、その後の人生でも常人では考えられないプレッシャーやストレスを抱えていたはず。
いわゆる野球エリートでは無かった上原さんは、常に逆境と隣り合わせの野球人生でした。
通っていた中学校には野球部がありませんでしたし、高校時代も控えピッチャー。
浪人して目標の大学に入学はしましたが、正直野球の名門校という訳でありません。
同時期に大学球界にいた有名選手と言えば、慶應義塾大学の高橋由伸さん。
高橋選手と言えば当時から大人気の正真正銘のスター。
一方の上原さんは、大学入学時もやはり無名からのスタートでした。
巨人にドラフト1位で入団した時も、プロ同期には「平成の怪物」松坂大輔投手がいました。
正直、注目の多くは松坂投手にいっていたんです。
メジャーリーガーになってからも、ケガや先発から中継ぎへの転換、チームメイトとのコミュニケーション等、乗り越えるべき壁がいくつもあったはず。
それでも上原さんは、今でも尊敬する人を聞かれると、「一生懸命勉強している浪人生」と答えるんだそうです。
あの時の辛く先の見えない不安を思えば、どんなことでも耐えられる、と。
先の見えない不安と闘う
先が見えない不安は、多くの人が抱えていると思います。
そんな人たちに、上原さんの姿は大きな勇気をくれます。
例えば、上原さんも経験された、浪人生。
浪人時代には、先が見えない不安が常に付きまといます。
頑張らなくちゃいけない。
周りから見れば、頑張るのは当たり前。
浪人を良く知らない人からすれば、結果を出すのだって当たり前。
けれどもいくら頑張っても、合格できるかどうかは分からない。
いくら大変でも前向きになれれば良いんです。
けれど浪人生は一度失敗をしている存在。
一周遅れで、同級生たちが越えていったハードルにもう一度トライしなくてはいけない。
どうしても自分がみじめに感じてしまうことがある。
なかなか前向きにもなりにくいんですよね。
先の見えない不安を常に抱えながら、それでも毎日毎日、机に向かう。
結果がどうなるか分からない努力を、誰も見ていない場所で地道に続ける。
心が折れてしまう人だって沢山います。
「浪人なんて、大したことじゃない」
「社会に出れば、大変なことや理不尽なことはもっともっと沢山あるんだ」
なんて言う大人もいますよね。
私の周りにいた大人は、そんな人たちばかりでした。
けれどもそこは安心してください。
浪人生活は、間違いなく「大したこと」です。
上原さんだって、浪人時代の経験を思い出して、その後の辛いことを乗り切り、大きな仕事をやってのけたんですから。
今が本当に辛いという浪人生は、
「ここを乗り切れば、自分は大きく成長できる。何にだってなれる。」
こんな風に思って、少しでも前向きに頑張ってもらえたら嬉しいです。
オススメしたい上原さんの著書
野球に興味があまりないと言う人にも、是非お勧めしたい一冊です。
先ほどお話しした学生時代の話を含め、上原さんが2013年にメジャーリーグのワールドシリーズで胴上げ投手になったところまでを振り返り、自身の哲学についてお話しされています。
野球に関してもそこまで難しい話も無いですし、とても勉強になります。
上原さんの「雑草魂」は、日々頑張る人達に大きな勇気をくれます。
もちろん、浪人生にもおススメ。
「野球」や「試合」を「受験」に、「トレーニング」や「準備」を「勉強」に置きかえてぜひ読んでみてほしい。
それがそのまま、勉強方法の非常に良い参考書になるように感じます。
この本を読んで感じるのは、「こんな大選手にも、不安や恐れは常につきまとっているんだな」ということ。
いつも不安でしょうがないからこそ、準備を怠らない。
とても勉強熱心で、努力するのに場所なんて関係ないことに気付かせてくれる。
浪人経験のある上原さんだからこその、努力に対する考え方がこの本にはあふれています。
準備を怠ったことで悪い結果を招くことになったら、悔やんでも悔やみきれない。
~(中略)~
二度とそういう嫌な気持ちは味わいたくないし、その気持ちが、どんなに疲れていても、どんなに精神的に落ち込んでいても、万全の状態で試合に臨むための準備を私に強いるのだ。
上原浩治『覚悟の決め方』(PHP出版、2014年)
多くの挫折や壁を乗り越えてきた上原さんから学べることは、本当に沢山あります。
「後悔したくない。」
不安の中、そんな気持ちと闘っている人は、一度読んでみるだけでも大きな価値があると思います。
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