あなたは、勉強が好きですか?
私個人的に、学生時代に勉強が好きだと感じたことはありませんでしたし、好きになる必要も無いと思っています。
けれどもやっぱり勉強が好きな人は強いですよね。
それはなぜなのか。
今回は、前回に引き続き『「脳を本気」にさせる」究極の勉強法』を読んで、気になった点を共有したいと思います。
16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える「脳を本気」にさせる究極の勉強法
前回記事については↓をご覧ください。
この記事が主に対象としているのは以下のような方です。
〇どの科目・分野でも構わないのでなるべくストレス少なく、効率良く学力を身につけたいと思っている人
〇大人になって(大学生になって)からも、なお勉強をして自分を高めていきたいと思っている人
- 好きこそものの上手なれ
- 好きなことの上達が早い理由
- 好きなことに没頭するのが最高の勉強法
- これまでは「ジェネラリスト」が目標だった
- これからは「スペシャリスト」の価値が高まる
- 大学に通う意味は?
- 最後に
好きこそものの上手なれ
「好きなことだけは、ちょっと自信がある。」
「自分の趣味に関しては、周りの人に負けない!」
という人は沢山いると思います。
現代文の難しい文章を読むのにはいつも苦労するが、好きな小説ならどんなに長いものでも飽きずに読み進められる。
英単語を覚えるのは退屈でしかたないが、好きな洋楽の歌詞ならいくらでもスラスラ出てくる。
こういう状態が、「好きこそものの上手なれ」という表現を用いて説明されてきました。
好きなことなら、いくらでも夢中になれる。
夢中になれれば、上達だってできる。
そんな意味だと思います。
感覚的にも「確かにその通りだ!」と感じるこのことわざ。
けれども感覚だけではありません。
脳の特徴からも、論理的に説明ができるそうなんです。
好きなことの上達が早い理由
脳の中で、「好き・嫌い」を感じるのは、「扁桃体(へんとうたい)」という部分です。この「扁桃体」は、記憶を司る「海馬」の近くに位置しています。実は、この扁桃体の反応が、海馬にも影響を与えていると考えられるのです。
瀧靖之『「脳を本気」にさせる究極の勉強法』(文響社、2017年)p99
脳の中の「好き嫌いをつかさどる部分」と「記憶をつかさどる部分」が近くにあるため、お互いにえいきょうしあっているという事なんです。
好きだと脳が判断したことについては、記憶もしやすいようになる。
逆に嫌いだと脳が判断したことについては、覚えるのが大変になる。
この脳のメカニズムこそが、「好きこそものの上手なれ」の根拠だったんです。
このことに気付いている人なら、自分が好きだと思えることをとことん勉強した方が効率が良いという事が分かると思います。
好きなことに没頭するのが最高の勉強法
そして本書ではさらに、「汎化(はんか)」という脳のメカニズムについても書かれています。
脳には「汎化」と呼ばれる特徴があります。これは「ある能力が伸びると、それにともなって他の能力も伸びる」という特徴です。
瀧靖之『「脳を本気」にさせる究極の勉強法』(文響社、2017年)p105
無理をして色々な分野の能力をまんべんなく伸ばそうとしなくても、得意な分野の能力を頑張って伸ばしていれば、勝手に他の分野の能力も上がってくる。
これって、結構意外なことじゃないです?
学校で教育を受けていると、どの科目もなるべくまんべんなく良い成績を取ることを要求されます。
数学だけ出来ても、英語だけ出来ても、基本的にはダメ。
一科目だけメチャクチャ得意だったとしても、他に赤点を取る様な科目があるとあまりホメてはもらえません。
苦手を苦手なままにしておくことは許されず、多くの時間を「苦手科目のこく服」に割かざるをえなくなる。
けれども実際には、これには無駄が多いということですよね。
音楽なら音楽。
スポーツならスポーツ。
得意なことを、好きなことを突きつめていけば他の分野の能力も勝手に上がっていくんですから。
もちろん、受験を目前にしていてはそうも言っていられないのは分かります。
苦手科目をそのままにしていては現実に点が取れません。
チラカワザでもなんでも使って、合格できる最低レベルまでは何とかして引き上げなくてはいけない。
けれども、そうじゃない人。
例えば、受験までまだまだ時間がある学生や受験を終えた大学生・大人の皆さん。
こういった人達に関して言えば、「苦手科目のこく服」に時間を使うのはとてももったいないことなんです。
勉強に限らず、自分が好きなことにひたすら没頭する。
誰にもエンリョせず、ただただ好きなだけやる。
そうすることが脳にとって一番効率の良い「勉強法」なんです。
これまでは「ジェネラリスト」が目標だった
ほんの一昔前までは、好きなことに没頭するだけの人はあまり世の中に受け入れられませんでした。
好きなことをそのまま大人になってもやり続けられる人は、ほんの一握りの選ばれた人。
スポーツでも音楽でもなんでも、プロになれなければ経験をお金に変えることは難しく、生きていくことは困難でした。
だから多くの親たちが自分の子供に期待するのは、まんべんなく得点できる能力。
いわゆる「ジェネラリスト」になることです。
スポーツや音楽が人より出来たとしても、プロになって技術をお金に変えられるのは選ばれた人だけ。
そんな「ギャンブル」みたいな人生を、自分の子供に選ばせる訳にはいきません。
だからなるべく周りの人と同じような能力を、自分の子供にも伸ばしてもらいたいと願う。
「なるべく頑張って勉強して、良い学校に入って良い会社に就職して…」
こう願うのは当たり前のことですし、実際にこうしていけば「間違いのない人生」を送ることが出来たんです。
これからは「スペシャリスト」の価値が高まる
けれどもこれからの時代は、おそらくそう単純にはいきません。
どこにいても何をしていても、インターネットを通じて勉強することができる様になりました。
個人で情報を発信することも非常に簡単になってきていて(TwitterやInstagram、Facebookをイメージすると分かりやすいです)、それにともなってビジネスモデルも多様化してきています。
ユーチューバーは、正に現代のビジネスモデルの象徴的な存在だと思います。
「知識」や「お金」を得ることに大きな組織(大学や会社)だけに頼る必要性がどんどん低くなってきているんです。
そんな世の中でますます貴重になってくるのは、「スペシャリスト」。
特定の分野に突き抜けた力を持った人が、その豊富な能力・知識をインターネットとかけ合わせて活躍していく。
一人でなんでもできる必要は全然ありません。
必ずしも「プロ」にまでなる必要もありません。
インターネットを活用して世界とつながれば、様々な人たちとお互いの「苦手科目」を補い合いながら大きな仕事を成し遂げることもできます。
ですから、自分の中の「好き」とか「憧れ」のような感情を我慢するのはやめた方が良い。
その気持ちを、「これでもか!」というくらいに大きく大きく育てていく。
そうすることが、これからの世の中で上手に生きていくための一番の方法なんではないでしょうか。
大学に通う意味は?
これからの時代は、「インターネットでは手に入らないモノ」がどんどん無くなり、逆に希少価値が生まれてくるようにも感じます。
Googleのストリートビューによって、わざわざ出かけなくても世界中の景色や様子を見ることが出来るようになっています。
けれども、だからと言って旅行をする人がいなくなるかと言ったらそんなことは無なさそうですよね。
その土地に実際に行って、その土地の空気を感じる。
これだけはさすがにインターネットの力だけでは難しそうです(あくまでも現状であり、未来がどうなっているかは分かりませんが。。)。
だから、大学に行く意義もしばらくはなくならない。
「大学に行かなくても勉強できる」と書きましたが、それでもまだまだ大学へ通う事には大きな意義があると思います。
同じ目的を持ち同じハードル(入学試験等)を乗り越えてきた仲間と、大学という特別な空間で出会い時間を共にする。
そこから受ける特別な刺激は、インターネットでは現状手に入りません。
それに、企業に就職するという選択肢がすぐに無くなる訳ではありませんから、「大卒の肩書き」にはまだまだそれ相応の価値が残っていくはずです。
キレイゴトを抜きにしても、「大学に通う」という経験や実績の意味はまだまだある。
少なくとも何かの縁があって大学に通おうと今考えている人にとっては、大きな意義があるし利用価値も本当に多くあります。
学費や時間が無駄だと感じるのであれば、それは「その人にとっては不要だった」ということか、「大学を上手く活用できていない」というだけの話です。
色んな人が色んなことを言うと思います。
けれども人の話にばかり流されず自分で見て感じて、答えを出してほしいなと思います。
大学生という身分で好きなことをやるのは、本当に貴重なことです。
社会に出て働いてみると、本当にそう思います。
せっかく大学生になるのであれば、自分のやりたいことをとことんやって、スペシャリストになる練習をしてみてほしいなと思います。
(個人的に大学生になったらやってみてほしいことは、下の記事↓に書かせていただきましたのでそちらも是非ご覧ください。)
最後に
今回も『「脳を本気」にさせる究極の勉強法』を読んでの感想や思いを書かせていただきました。
本書はどちらかというと「大人の勉強」にスポットをあてて書かれているんですが、他にも共有したいような素晴らしい知識がたくさん詰まっています。
文書も読みやすく書いてくださっているので、大人のみならず学生の皆さんにもとてもおススメです。
「何か本を読んでみようと思うけど何にしようかな」
と思っている人は一度お読みいただいても全く損は無いです↓。
16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える「脳を本気」にさせる究極の勉強法